基本設計とその後の調整

基本設計。
その良さが製品の寿命をいかようにでも変えることは
わかりやすいかと考えます。

昨今電子制御が発達し、
基本設計の悪さを制御で補うことが多々見られます。
しかしながら設計の悪いものを制御で補うことは、
何ら解決になっていません。

航空ファンとして例がすぐ頭に浮かぶのが
MD-11です。

成田空港初の死亡事故を起こしたFedExの機体と言えば、
ご記憶の方も多いでしょう。

もともとは三発機DC-10の現代化改良版です。
改良にあたって
・胴体のストレッチ
水平尾翼の面積の約30%削減
水平尾翼内への燃料タンクの追加
・Avionics(電子制御)の大々的な導入
を行ったことは専門家の方々の間では有名な話です。

これらの改修により、
「縦の動安定」と言われる安定性が発散解を持つようになりました。
これはピッチング方向(すなわち機首が上下に首を振りやすくなる)の安定性がない
こととなります。

これをおさえるために、Avionics(電子制御)でLSASを導入し
常に細かく制御を掛けています。

それ故、自動操縦を切った場合のマニュアル動作での不安定性などが生じ、
香港でのチャイナエアラインの事故をはじめ多数の事故を生じてしまっていると言われます。


余談になりますが以前ルマン24時間レースにおいて
ザウバーメルセデスが6kmの直線のユノディエールにおいて
突然舞い上がり地面にたたきつけられる事象がありました。

これはピッチング動作が押さえ切れていないことが原因と考えられています。
レーシングカーでは床下に空気が入らないように設計し、
床下の空気圧を下げ、地面に吸い付くように配慮されています。

ユノディエールはフランス国道であり、
サーキットと異なりでこぼこです。
元々ピッチング動作の押さえ切れていない
サスペンションセッティング(設計)+フロント周りの空力
では、ピッチングが激しくなった場合の
大量の空気の入り込みは抑制できません。

それを原因とする事故をユノディエールで起こしてしまったのでしょう。

当時はアクティブサスペンションなどはありませんでしたので
事故として発生してしまったことがあるでしょう。

ただ、設計の素性の悪いものはいずれ足を出します。


基本設計に手を抜いてはいけません。